日産のグローバル販売担当副社長の片桐隆夫を迎え、2011年度のグローバル販売実績について話を聞きました。
Q1. 2011年度のグローバル販売実績についてポイントを聞かせてください
片桐副社長:
2011年度は非常に好調なモメンタムにより、グローバル全体で過去最高の販売台数を達成しました。速報値ですが、販売数は484万3000台で過去最高を記録し、2010年度に比べ15.7%増加しました。マーケットシェアについても、暫定値ですが6.4%となり、最高記録となる見込みです。
Q2. 国別の販売実績を教えてください
片桐副社長:
多くの国で過去最高の販売台数およびマーケットシェアを記録しています。例えば年度ベースの販売台数では、中国、タイ、インドネシア、オーストラリア、アメリカ、カナダ、ブラジル、チリ、ヨーロッパ全体と、フランス、ロシア、インドなどが新記録を達成しました。
マーケットシェアについても同様に、中国、インドネシア、オーストラリア、アメリカ、メキシコ、カナダ、ブラジル、チリ、ヨーロッパ全体とイタリア、フランス、そしてインドなどが過去最高を記録する見込みです。
Q3. 過去最高の販売を更新できた要因は何ですか?
片桐副社長:
主な要因は4つあると考えています。

1つ目は、東日本大震災やタイの洪水などの危機に迅速に対応し、いち早く解決したことです。これはディーラー、サプライヤーを含め、当社グループ全体のクロスファンクショナル、クロスリージョナルな活動の成果だと思います。これにより供給量の減少を極小化することができました。
次に、本社から販売現場までの力強い販売モメンタムがあったということです。これは2011年度だけではなく、ここ数年の新車投入や販売網の拡大を伴って、モメンタムが続いているといえます。
3つ目は、新規投入商品が市場のニーズ、お客さまのニーズにマッチしたことです。「ティーダ」、「ヴァーサ」、「マーチ」、「サニー」等の新規商品が受け入れられました。
4つ目は、販売を支える販売ネットワークの量的つまり販売網の拡大と質の向上です。これら販売の面でも成長を支えることができたと思います。
Q4. 主要リージョンのうち、中国、米国、欧州で販売が対前年比2桁増となりましたが、各地域の状況について教えてください
片桐副社長:
<中国> 効果的な新型車やマイナーチェンジ車のローンチ、そして周到な販売マーケティング活動などが功を奏し、全体需要をはるかに上回る記録になりました。全体需要は1,720万台で、2010年度に比べ3.4%の増加となりましたが、日産の販売は対前年比で21.9%増の124万7,000台を記録しました。年度シェアは7.3%で過去最高となり、メーカー別のマーケットシェアランキングは第4位と、日系メーカーでは首位となりました。
商品では「サニー」、「ティーダ」、「キャシュカイ」、および「ティアナ」、「シルフィ」などの車種が10万台を超える販売実績を記録し、全体を牽引しました。
<米国>
日系の競合メーカーであるトヨタ、ホンダが対前年割れという状況のなかで、日産は対前年を上回りました。全体需要が対前年比で8.9%増の1,320万台、日産は対前年で11.8%増の108万台を販売しました。マーケットシェアは8.2%で最高記録となりました。
特に「アルティマ」が前年比23.6%増とトップ10モデルの中で対前年で最も大きな伸びを記録し、全体の売り上げを押し上げました。
<欧州> 全体需要は伸び悩みましたが、日産の販売は好調でした。全体需要は対前年比で1.6%増の1,840万台でした。これはロシアを含めた数値です。堅調なロシアが、前年度割れとなったイタリア、スペインなどの南欧をカバーしている状況だと考えていいでしょう。このような市場の中で日産では対前年比17.5%増の71万3000台を記録しました。この結果、年度のマーケットシェアは暫定値ですが3.9%となり、過去最高の見込みです。欧州の中でも特筆すべきはロシアで、対前年比57.3%増の16万1000台という非常に高い伸びを記録しています。
<日本>
震災からの回復後、後半はエコカー補助金復活の後押しもあり、全体需要は約480万台、対前年比で3.3%増となりました。この中で、日産は対前年比9.2%増の65万6000台を記録。この結果、マーケットシェアは13.8%で、メーカー別ランキングで第2位となりました。
商品別では「セレナ」がおかげさまで4年連続セグメントNo.1を獲得しました。また、「ジューク」、「エクストレイル」が2年連続でSUVセグメント内No.1とNo.2を獲得することができました。
<その他の成長市場> ブラジル、インドネシア、インド、メキシコ、これらの国はすべて好調です。新型車のローンチが市場に受け入れられたことと、販売網の拡大と強化に力を入れてきた結果だと考えています。これらの4カ国はすべて対前年比で2桁以上の増加を記録しており、例えば、ブラジルは94.9%増、インドネシアは41.8%増、インドは173.2%増、メキシコは20.7%増と、非常に勢いが増してきています。
Q5. 最後に2012年度を迎えるにあたってのポイントをお聞かせください
片桐副社長:
具体的には3点あると思っています。
1点目は日産の販売モメンタムが非常に強いことです。12年度もこのモメンタムの維持と加速に尽力していきます。
2点目は、より具体的な話になりますが、引き続き継続的な新車投入を活用することにより、拡販を図り、ブランドパワーの強化を図っていくことです。
3点目は販売ネットワークの量的および質的な拡大を更に推進していくことです。特に量的なネットワークの拡充に関しては、2012年度が一つの大きなヤマ場になると考えています。具体的には、全世界で年度内に700店以上の店舗増加を目指しています。
以上が2012年度のポイントとなります。