2013年7月4日
ルノー・日産アライアンスの新境地トリアッティ
6月24日、ルノー・日産アライアンスCEOのカルロス・ゴーンは、ロシアの自動車産業都市であるトリアッティを訪れ、アライアンスとロシア最大の自動車メーカーが協力関係を築いた場所を視察しました。
アフトワズ社は6万人以上の従業員を擁しており、トリアッティ工場ではルノーや日産を含む3つのグローバルブランドの車種が生産されています。
ゴーンはトリアッティこそがグローバルな協力関係のモデルだと強調します。
「アフトワズの生産能力は、ルノーと日産がロシアで想像しうる最も安価な工場です。従って、このウィン・ウィンの関係は今後も各ブランドのメリットになり、その結果、単独ではなし得なかったであろう水準の利益を確保すると同時に40%の市場占有率を達成することができます」とゴーンは述べました。
昨年、アフトワズは自動車生産と海外の技術を使用するというこの共同事業を発表しました。同事業においてはルノーと日産が67%のシェアを有する一方で、ロシアン・テクノロジー社が33%有すると発表されました。
拡大したアライアンスの生産量は、トヨタ、GMに次いで世界第3位に上りました。
アフトワズのメインブランドであるラーダのみでも、2016年には販売台数が160万台に達すると予測されています。今回の提携は同社の回復に大きく寄与したとイゴール・コマロフ社長は述べました。
コマロフは「(ルノー・日産)アライアンスとの提携と、新車の継続的な開発、改善をしていく段階にきています。アライアンスの水準を満たすため、パートナーからのノウハウや経験、スキルを活用しながら近づけています。そうすることこそが我々の発展の鍵であると考えています」と語りました
ラーダ「ラルグス」などの新型車を続々と市場に送り出すことによって、トリアッティは生まれ変わります。
昨年のモスクワ自動車ショーでは、40年の歴史を持つラーダのデザインも一新され、コンセプトクロスオーバータイプの「XRAY」が発表されました。これにより、同メーカーの新たな方向性が確立されました。
カルロス・ゴーン社長 インタビュー
https://www.youtube.com/watch?v=1DUQ8LC_1l4
6月27日、ルノー・日産アライアンスの会長 カルロス・ゴーンは、ロシアのトリアッティにて、アフトワズ社への資本参加の拡大について語りました。アフトワズを加えたアライアンスは同市場で40%の市場占有率を目指しています。
ゴーン氏は、日産自動車、ルノー、そしてアフトワズ3社の代表者とアフトワズの株主が集うアライアンス会議に出席し、アフトワズの持ち株会社の取締役会 会長に任命される予定です。インタビューは同社の巨大工場で行われました。
Q: ルノー・日産アライアンスとアフトワズの関係はこの5年間でどのように進化しましたか?また、ウィン・ウィンの関係への期待を聞かせてください。
カルロス・ゴーン社長:
アフトワズとの関係は正に互恵関係のウィン・ウィンです。アフトワズを含む当アライアンスは既に30%の市場占有率を誇るロシア最大の自動車グループですが、今後更に拡大し、40%の市場占有率を達成するという共通の目標を目指しています。アフトワズが手掛けるラーダ・ブランド、ルノー、そして日産とダットサン・ブランドがそれぞれプレゼンスを拡大して、40%を実現します。
これまでの成果についてご紹介しましょう。第一段階は主に、アフトワズとルノーの協業で、ルノーがラーダ・ブランドに多くの技術、プラットフォーム、エンジン、ノウハウ等を提供してきました。ラーダ・ブランドはそのメリットを活かし、ルノーとの協業から生まれたクルマは好評を博しています。一方、アフトワズの市場占有率が振るわないのは、古い商品の販売不振に起因しています。新型車は極めて好調です。これが第一段階でした。
第二段階では、日産自動車が参画することで、アフトワズは競争力の高いロシアの自動車メーカーに変貌するだけでなく、競争力溢れるグローバル・メーカーに生まれ変わります。また、同社のトリアッティやイジェフスク工場の巨大な生産能力やインフラを活用し、ルノー車と日産車を生産する計画です。
ルノー/日産車を同工場で生産することで、固定費をより多くの台数で負担し、その結果、アフトワズもスケール・メリットにより購買コストを削減することができます。これは正にウィン・ウィンの関係です。
同時に、アフトワズの生産能力は、ルノーと日産がロシアで想像しうる最も安価な工場です。従って、このウィン・ウィンの関係は今後も各ブランドのメリットになり、その結果、単独ではなし得なかったであろう水準の利益を確保すると同時に40%の市場占有率を達成することができます。
Q: ルノーと日産はロシアの自動車業界をリードするアフトワズと共にトリアッティとイジェフスクで車両生産を行います。近々、ダットサンが投入されることも踏まえ、ロシア市場は今後どのように発展していくと思いますか?
ゴーン社長:
2013年については懐疑的な声があるものの、ロシア市場は、今後更に拡大していくとみています。今年、ロシア市場は2~4%縮小すると予測する声も一部あり、事実、今年に入ってから全体需要は減少しています。しかしながら、ロシア政府は、経済の活性化に意欲的で、成長を回復するためのインセンティブを実施する意向を示しています。ロシア市場の現在の1000人当たりの保有台数は300台未満です。
一方、欧州諸国は平均で1000人当たり500台ですから、ロシアが今後もその水準を下回ると考える理由はありません。従って、今後、ロシア市場は飛躍的に伸びていくでしょう。無論、常に右肩上がりで成長することは期待できません。時には停滞、あるいは若干減少することもあるでしょう。しかしながら、総体的には市場は拡大を続けるでしょう。
いずれロシア市場は欧州最大の市場となるでしょう。現在、ロシアは、欧州ではドイツに次ぐ2番目に大きな市場で、全体需要は300万台未満です。しかしながら、私は、ロシア市場にはドイツを上回る潜在力があり、成長する余地があると考えています。従って、当アライアンスは、同市場が欧州最大の市場になった時に備えて投資を行い、態勢を整えています。
Q: ルノー・日産アライアンスはアフトワズのパートナーであると同時に株主であり、近々、ゴーンさんは同社の持ち株会社の取締役会の会長に任命される予定です。これにより、アフトワズは今後、どう変化していくでしょうか?
ゴーン社長
現在、アフトワズには明快な戦略があります。優れた商品計画と技術も揃っています。ルノーと日産は、生産、サプライチェーン、そして全般的な効率性に関するノウハウや知識を提供しています。
必要なのは実行の徹底と、ベスト・プラクティスの実行による成果の刈り取りです。私はロシアのパートナーの要請で取締役会の会長に任命されますが、これは、正にアフトワズが当アライアンスのパートナーであることの証です。私は喜んでこの役目を果たしたいと思っています。
これにより、アフトワズへの対応が変わることはありません。同社のCEOは従来通り、イゴール・コマロフ氏であり、同氏がアフトワズの業績に関する義務と説明責任を担います。ルノー・日産アライアンスは同社のパートナーであると同時に株主として、アフトワズを支援し、3社ともに力をつけていくことが狙いです。